あふれ呼とは?意味、放棄呼との関係性、機会損失を減らす5つの対策

2022.12.28

コールセンター・コンタクトセンターでは、長年続く人手不足が業界の大きな課題となっています。近年、AIの導入により、人手不足を中心としたコールセンターの業務課題を解決しようとする試みが広がっています。

「あふれ呼」は、AIの導入で改善できる課題のひとつです。チャットボットの導入など、あふれ呼を減らす方法にもさまざまな選択肢があるため、コールセンターの現状と課題に合わせて検討することが大切です。

この記事では、AIの導入による、あふれ呼の業務改善策を解説します。「あふれ呼を減らしたい」「AIの導入でコールセンターの業務改善を進めたい」とお考えの方は、ぜひご一読ください。

あふれ呼とは?

あふれ呼(あふれこ)とは、オペレーターの数を超えるコール(あふれたコール)がコールセンターに集中して、オペレーターが対応できなくなることです。「待ち呼」や「待機呼」とも呼ばれます。「電話が込み合っているためしばらくお待ちください」などのガイダンスが流れ、顧客は受話器を持ったまま待っている状態になります。

あふれ呼と放棄呼の関係性

放棄呼とは、コールセンターに連絡した顧客がオペレーターにつながる前に通話を切断することです。放棄呼は、顧客があふれ呼の状態に待ちきれないことで起こります。あふれ呼が増えると、放棄呼率が高まります。

あふれ呼を放置することの弊害

・企業や製品、サービスのイメージ低下につながる

コールセンターの対応は、製品やサービスのイメージに直結しやすいです。また、企業のイメージにも関係します。コールセンターに電話がつながらない状況が続くと、顧客がストレスや不満を抱えやすくなり、企業やサービスのブランディングに悪影響を及ぼします。

・機会損失が発生するおそれがある

機会損失は、サービスの申し込みや、製品購入など、コールセンターが売り上げに直結する業務を担っている場合に多く発生します。あふれ呼によって放棄呼が増え、顧客獲得の機会損失が起こる可能性が高まります。

・オペレーターの負担が増加する

あふれ呼や放棄呼によって、ストレスや不満を持った顧客の対応が発生します。その結果、オペレーターの負担増加につながります。また、長時間待たされた顧客から、通常の案内業務に加えて、クレーム対応が発生する可能性が高まります。これらのストレスにより、オペレーターの離職率が増えるリスクがあります。

あふれ呼を防ぐ5つの対策

あふれ呼を防ぐ対策は、増員もしくはAIの導入によるものに分かれます。ここでは、具体的な対策を5つご紹介します。

自社のオペレーターを増員する

受電対応可能なオペレーターを増やすことによる対策です。ただし、日常的にあふれ呼が起きている場合は、組織の構成を見直す必要があります。

イベントや季節ごとにあふれ呼が起こる場合は、繁忙期だけの増員も可能です。しかし、増員の手配にかかる調整作業や業務研修など、オペレーションを担当する部門側にとっては特に人的コストが大きい対応方法である点に注意が必要です。

人員不足や組織構成にあふれ呼の原因がある場合は、オペレーターの増員では根本の解決にはつながりにくいでしょう。

アウトソーシングを利用する

コールセンター委託会社の利用も、あふれ呼対策のひとつです。イベントや繁忙期など、あふれ呼が予測されるタイミングで、コールセンターの業務の一部を社外に委託します。自社による増員手配の手間が省ける点はメリットですが、オペレーターの増員と同様に、一時的な対応になりやすいことがデメリットといえます。組織構成や業務マニュアルに原因がある場合には、問題の根本を解決する必要があります

チャットボットを導入する

サービスや製品のWebサイトにチャットボットを設置する方法です。チャットボットとは、リアルタイムでテキストのやり取りができる自動会話プログラムのことです。

チャットボットには事前に設定したシナリオに沿って会話を進める「シナリオ型」と人工知能を使用してリアルタイムで会話内容を分析し、会話を進める「AI型」があります。AI型のチャットボットは機械学習により精度が改善されていくため、シナリオ型よりも柔軟な顧客対応が可能です。

チャットボットを導入する際は、コールセンターへの問い合わせでよくある質問を、FAQにまとめておきます。顧客に自己解決を促して、コールセンターへのコール数を抑える効果が期待できます

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IVRを導入する

IVRとは、「Interactive Voice Response」の略称です。直訳すると、音声自動応答システムのことです。あふれ呼の場合に自動応答することで、オペレーターに効率的に電話をつなげます。顧客は待つ時間が、オペレーターは通話対応にかかる時間が減り、顧客と企業の双方にとってメリットがあります。

従来のIVRは着信後自動で機械音声によるガイダンスが送出され、顧客はガイダンスに従いダイヤルをプッシュすることで、担当部門や部署につながれるという仕組みでした。
しかし、現在ではIVRにも様々な機能が付与されています。
主なIVRの種類は次の3つです。

1.コールバック型IVR
顧客からの入電時にオペレーターに空きがない場合、オペレーターに代わってIVRの自動音声が送出され、顧客は電話番号やコールバックを希望する時間帯などを登録することができます。
オペレーターは入電の対応が落ち着いた後に、登録された電話番号に発信し用件を伺います。
電話がつながるまで顧客が待つ必要がなくなり、企業側は注文受付の機会損失を防げます。さらに、時間帯によるオペレーターの繁閑の差も緩和できます。

2.ビジュアルIVR
電話でのお問い合わせに対し、アプリやSMSなどでFAQページへの移動を提案するIVRです。オペレーターを通さず、顧客が課題を自己解決できるように誘導します。
顧客は、音声ガイダンスを聞き逃したときに再度聞き直す手間がなくなります。また、誘導されたFAQページでは視覚的に操作が行えるため、ミスが少なくなる点もメリットです。

3.ボイスボット型IVR
受付から申し込みまで、完全に自動音声で対応するIVRです。申し込みや受付などの簡単な処理であれば、ボイスボット型IVRで行えます。従来のボタンを押すプッシュトーン型とは異なり、ボイスボット型IVR(対話型IVR)はリアルタイムで対話できるのが特徴です。

WFMを導入する

WFMとは、ワークフォース・マネジメントの略称です。適切な人員配置の割り出しや、スタッフのシフト管理を行うための管理手法です。センター内のサービス品質を下げることなく、人員を適正に配置できます。サービス品質の向上と人件費抑制が期待できます。

コールセンターのあふれ呼対策なら「AIクラーク」

コールセンターの業務改善にはAIクラークの利用がおすすめです。機会損失やクレームの発生などにつながるあふれ呼の防止も含めて、人手不足によるコールセンターの課題を効率的に改善します。

AIクラークとは?

AIクラークとは、AIを活用した「お客様対応自動化」のサポートに関する一連のサービスを含む、サービス群です。「クラーク」は、英語で事務員やフロント係を意味します。

コールセンターのフロント業務をAIが担当し、振り分けられ、精査されたコールをヒトが確認・修正します。例えば、受付や本人確認、プラン変更などのフロント対応をAIに任せ、その後の細かい対応をオペレーターが行うなどの役割分担ができます

AIクラークの利用により、サービス品質や顧客満足度の向上が期待できます。

AIクラークでできること

AIクラークの「AI電話自動応答サービス」や「AI FAQ構築サービス」は、コールセンターが抱える問題を、AIの力でサポートします。

AI電話自動応答サービスは、自社のコールセンターの抱える問題点に合わせて顧客への電話対応の一部をAI自動音声で自動化できるサービスです。例えば、音声データの自動テキスト化、夜間の無人対応、問合せ内容に応じて応対者をAIとヒトに切り分けて対応することなどが可能になります

AI FAQ構築サービスは、過去の応対履歴情報をもとに、質問と回答を整理できるサービス機能です。AIによるテキスト分析によって顧客の問題解決に最適なFAQを構築します

FAQサイトやチャットボットを設置し、顧客を自己解決に導くことで、コールセンターの業務量を抑えます。その結果、あふれ呼の防止につながります。

さらに、構築したFAQは社内でも活用できます。迅速な対応が求められるコールセンターでは、オペレーターが顧客と通話しながら膨大な量のマニュアルを参照するのは現実的ではありません。オペレーターが社内用のFAQにキーワードを入力するだけで回答にたどり着ければ、対応時間の減少や効率化が実現できます

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AIを活用して効果的なあふれ呼対策を

あふれ呼の発生は機会損失につながるだけでなく、製品やサービス、ブランドのイメージにも影響を与えます。増員による課題解決は一時的にオペレーションの負担が増え、対応にも限界があります。

AIの導入はコールセンターの業務を根本から解決する可能性を秘めており、技術の進歩により、精度も向上しています。

AIクラークなら、コールセンターの総合的な課題解決が可能です。コールセンターの運営にお悩みの方は、お気軽にディー・キュービックにご相談下さい。ディー・キュービックは、40年以上のテレマーケティング業界での知見とAIの力で、コールセンター業務を支えるパートナーです。

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著者情報

ディー・キュービック株式会社 マーケティング部

ディー・キュービック株式会社は、1979年に設立されたコンタクトセンター運営・DX化の専門企業です。多様化するコミュニケーション環境の中で、アナログとデジタルでの「対話」から豊かな「顧客体験」を共創する企業として、クライアントの付加価値創造を支援しています。

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