コンタクトセンターのアウトソーシングとは?特徴や種類、料金相場

2023.01.30

アウトソーシングとは、社内業務の一部を外部の企業に委託することを指します。

コンタクトセンター業務をアウトソーシングすることで、従業員のリソースを節約し、より難易度の高いコア業務に集中させることができます。また、顧客対応経験が豊富な代行会社のオペレーターに顧客対応を任せれば、CX(顧客体験価値)の向上も期待できます。

このように、さまざまなメリットがあるコンタクトセンターのアウトソーシングですが、個人情報流出などのリスクもあるため、ポイントを押さえて委託先を慎重に選ぶ必要があります。

本記事では、コンタクトセンターにアウトソーシングができる業務やアウトソーシングを活用するメリット、懸念点などを徹底解説します。コールセンターのアウトソーシングを検討している方は必見です。

コンタクトセンターのアウトソーシングとは?

アウトソーシングとは、社内業務の一部もしくは全部を外部業者に委託することです。コンタクトセンターの場合、委託する業務は電話やメールなどの顧客対応になります。まずは、コンタクトセンターのアウトソーシングの基礎知識をご紹介します。

コンタクトセンターとは

コンタクトセンターとは、顧客や消費者とのやり取りを行う拠点や窓口のことです。カスタマーサポートの役割を担い、受注処理や在庫管理、関係部門への連携まで行う場合もあります。

コールセンターを含む顧客対応の窓口を総称して、コンタクトセンターと呼びます。特に、電話対応をする窓口がコールセンターです。かつては、顧客とのやりとりは電話が一般的でしたが、現在は問い合わせ方法が多様化しています。例えば、WEBサイトのコンタクトフォーム、メール、チャットアプリ、SNSなどがあります。

コンタクトセンターをアウトソーシングできる業務

・インバウンド業務
インバウンドとは、顧客からの電話やメールなどに対応する業務です。具体的には、受注受付、予約代行、テクニカルサポート、クレーム・返品対応などです。
インバウンドは、顧客からアプローチを受ける立場です。顧客満足度に直結して、企業のブランドイメージや収益向上につながります。そのため、担当するオペレーターは、業務やサービスについての知識、対応内容への理解が必要です。
・アウトバウンド業務
アウトバウンドとは、自社のサービスや商品を営業する業務です。具体的には、販売促進、DMのフォローアップ、リサーチ代行、イベント案内などの見込み客に対する架電です。アウトバウンドコールともいいます。
アウトバウンドは、企業が顧客に対して能動的に発信する立場です。担当するオペレーターは、サービスや商品についての知識以外にも、営業力や提案力、コミュニケーション能力が必要です。

コンタクトセンターのアウトソーシングが注目されている背景

・オペレーターが不足している
高まるオペレーターの需要に対して人員が不足していることが多く、コンタクトセンターの大きな課題になっています。また、オペレーターの育成に社内の人件費を割けない現状から、アウトソーシングを検討する企業が増えています。
・問い合わせ方法が多様化している
近年は、電話やメールだけではなく、WEBサイトのコンタクトフォーム、SNS、アプリなど、顧客からの問い合わせ方法が多様化しています。それぞれの問い合わせ方法に応じた適切なオペレーションスキルが求められており、社内で対応できない範囲については、外部への委託を検討するという流れになっています。
・顧客満足度の向上が期待できる
コンタクトセンターは、顧客と企業の最初の接点になります。そのため、コンタクトセンターの応対が企業のイメージにつながることも多く、重要な役割を担います。
顧客対応のプロに窓口業務を委託することで、コンタクトセンターの応対品質を高めることができます。それにより、顧客満足度の向上につながることが期待できます。

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アウトソーシングとBPOの違い

BPOとは、Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略称で、自社にノウハウがない業務の継続的なアウトソーシングを指します。

アウトソーシングとの違いは、単一業務を委託するのではなく、前後の業務も含めて関連するプロセスを総合的に外部委託する点です。なお、アウトソーシングとBPOは明確に区別されずに使用されることも多いです。

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コンタクトセンターの業務をアウトソーシングするメリット

アウトソーシングには、人件費の削減や生産性向上など、効率化と高品質化の両面でメリットがあります。ここでは、コンタクトセンターの業務をアウトソーシングする具体的なメリットを解説します。

設備投資のコストを削減できる

コンタクトセンターの立ち上げにかかるイニシャルコスト(初期費用)やランニングコストを削減できます。イニシャルコストとは、設備資金、オペレーター育成・マニュアル作成費用などです。ランニングコストの例としては、賃料、システムの保守費用などがあげられます。

自社で人材の採用や教育を行う必要がなく、業務の負荷を軽減できるのがメリットです。また、コールセンターの設備の維持費用や手間の削減につながります。緊急対応が必要な状況であっても、短期間でコンタクトセンターを立ち上げやすいのも利点です。

応対品質の向上につながる

顧客応対のプロの品質を、自社の品質として顧客に提供できます。アウトソーシング会社のオペレーターは、電話代行サービスのプロフェッショナルとして、コンタクトセンター業務において高い経験値を持っています。

また、新規サービスの立ち上げやシステム切替時など、一時的にコンタクトセンター業務が発生する場合もアウトソーシングサービスを利用できます。一時的なアウトソーシングのメリットとしては、問い合わせ窓口を素早く立ち上げられること、問い合わせ業務に慣れたオペレーターが電話対応できることがあげられます。

営業時間外の対応が可能になる

自社の営業時間外の対応をアウトソーシングすると、夜の時間帯や休日も対応が可能になるため、顧客の利便性が高まります。それにより、サービスの継続利用や新規顧客開拓の可能性が広がります。

アウトソーシングを活用すれば、休日や時間外のみの委託だけでなく、24時間365日の稼働も可能になります。自社の就業規則や勤務時間とは無関係に運用できるので、コンタクトセンターの目的と業務に合わせて検討しましょう。

コンタクトセンターをアウトソーシングする際の懸念点

メリットが多いコンタクトセンターのアウトソーシングですが、ノウハウの蓄積や情報の取扱いといった懸念点もあります。特に、個人情報の取り扱いには細心の注意を払う必要があります。

コンタクトセンターの運用ノウハウを社内に蓄積しにくい

コンタクトセンター業務を完全に外部に委託すると、社内の従業員の顧客対応能力が育たなくなるというデメリットが生じます。また、顧客のニーズやクレーム内容を把握できなくなる可能性もあります。

さらに、アウトソーシングを継続できなくなった場合に、応対品質が低下するリスクもあります。アウトソーシング業者に丸投げせずに、マニュアルや業務内容について共有・連携しながら進めると良いでしょう。

個人情報流出など情報漏えいのリスクがある

コンタクトセンターでは、顧客の個人情報を取り扱うことが多く、情報流出や情報漏洩のリスクがあります。自社内であれば相応のセキュリティを施すことが可能でも、アウトソーシングではセキュリティを強化するのが難しい場合もあります。

リスクを最小化するためには、委託先の選定が重要です。アウトソーシング業者によっては、オペレーターにセキュリティ研修を行なっていたり、オペレーターの入退室を厳重にチェックしたりしています。委託先を選定する際に、セキュリティ面の対応についても確認しておきましょう。

情報共有や連携が難しい業務がある

コンタクトセンターをアウトソーシングすることで、情報共有の不足が発生する可能性があります。情報共有が不足すると、不足している部分への顧客からの質問には対応できず、エスカレーションに遅延が起こります。その結果、顧客への回答に時間を要し、クレームにつながることがあります。

特に連携が難しいのはトラブル対応です。会社方針や内部のことを知らないと回答しにくい質問もあるでしょう。その場合の対応方法は、あらかじめ決めておく必要があります。

コンタクトセンターのアウトソーシングの種類と料金相場

コンタクトセンターのアウトソーシングには、主に3種類の料金プランがあります。プランによって費用が大きく異なるため、目的に合わせて最適なプランを選ぶことが大切です。各プランの料金相場もあわせて解説します。

料金プランの3つの種類

・従量課金型
従量課金型は、コール数に応じて料金を支払う形態です。料金は、「受電件数×コール単価」で決定されます。通電がなければ費用は発生しないため、コストを抑えられるのが特徴です。
従量課金型の料金プランは、受付や質問対応などのインバウンド業務に向いています。繁閑の差が大きい業務で採用されやすい料金タイプです。例えば、朝と夕方、週初めや月末など、問い合わせが集中する期間や業務量に差がある場合などです。
・成果報酬型
成果報酬型は、アポ数や受注数に応じて成果報酬を支払う形態です。1件あたりのコール単価は従量課金型、月額固定型と比較すると高い傾向にあります。成果が明確な営業などのアウトバウンド業務に向いています。
ただし、完全に成果報酬型で契約するケースは少なく、従量課金型との組み合わせやミニマム費用として基本料金とあわせて契約されることが多いです。
・月額固定型
月額固定型の場合は、毎月の費用が定額で決まっている形態です。担当のオペレーターが専任で対応します。時間あたりの人時単価や1席当たりの単価での契約が一般的で、1カ月で50件、100件以内などの件数で契約する場合もあります。
従量課金型や成果報酬型と比べて、支払い金額が明確なため、長期的な外注コストの計画を立てやすいメリットがあります。繁閑の差が小さく、安定した問い合わせ件数が見込まれる業務において採用されやすい形式です。

料金相場

コンタクトセンターをアウトソーシングする際の料金は、委託する業務内容の難易度や専門性によって変動します。

コンタクトセンターを業者に委託する場合、初期費用は50,000円~300,000円ほどです。業務連携やマニュアルの整備、専用環境の構築、研修費用などを含めると、数百万~数千万円になるケースもあります。

1件あたりのコール単価の平均相場は300~600円です。ただし、料金プランの形態により相場は変わります。料金プランによる相場の違いは次の通りです。

  • ● 従量課金型:300円~2,000円
  • ● 成果報酬型:5,000円〜30,000円
    (アポ1件あたりの単価は、難易度によって異なることが多い)
  • ● 月額固定型:500円~

コンタクトセンターのアウトソーシングで社内リソースの効率化と応対品質向上を実現

コンタクトセンターのアウトソーシングは、人件費や教育にかかる手間の削減と応対品質の均質化を同時に実現できます。一方で、アウトソーシングにはデメリットもあります。特に、情報漏洩のリスクは企業の信用に関わる問題なので、細心の注意を払わなければなりません。

委託先を選定する際は、費用やサービス内容だけでなく、実績や口コミも必ず確認しましょう。確かな実績があり、信頼して任せられる委託先を選ぶことが何よりも重要です。

コンタクトセンター業務を効率化する手段のひとつとして、アウトソーシングを検討されてはいかがでしょうか。

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著者情報

ディー・キュービック株式会社 マーケティング部

ディー・キュービック株式会社は、1979年に設立されたコンタクトセンター運営・DX化の専門企業です。多様化するコミュニケーション環境の中で、アナログとデジタルでの「対話」から豊かな「顧客体験」を共創する企業として、クライアントの付加価値創造を支援しています。

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