コールセンターKPI一覧|最重要14指標の算出方法と目安を解説

2022.12.28

顧客体験の重要性がクローズアップされるようになり、顧客と直接的に接点を持つコールセンターには、これまでとは異なる役割が期待されています。一方で、人手不足の慢性化がコールセンターの大きな課題となっており、業務の効率化の必要性が高まっています。
業務プロセスを改善する際は、KPI(重要業績評価指標)を設定して目標とのギャップを把握することが大切です。KPIを設定することでコールセンターの抱える課題を表面化しやすく、適切な対応を取りやすくなります。そこで、この記事ではコールセンターで設定すべきKPIについて解説いたします。コールセンターの課題を解決し、顧客体験をさらに高めたいとお考えの方はぜひご覧ください。
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コールセンターにおけるKPIとは?

KPIとはKey Performance Indicatorの略で、直訳すると「重要業績評価指標」という意味です。KPIを設定すると、最終目標までの進捗を可視化できるようになります。それにより、達成度合いや問題点が明確になって改善がしやすくなります。
コールセンターの場合、KPIはコールセンターのマネージャーが業務の達成率や改善点を判断する指標として使用します。例えば、品質の高いサービス(カスタマーサービスエクスペリエンス)を通じて顧客の問題を解決しているかを明らかにできます。

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コールセンターにおけるKPI一覧

コールセンターにおけるKPIは、担当する業務内容によって異なります。ここでは、コールセンターで使用される一般的なKPI指標を紹介します。
コールセンターのKPIは、応対品質・業務効率化・顧客満足度・マネジメントの4つの指標に分類されます。各KPIの詳細については次章で解説します。

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コールセンターの「応対品質」に関するKPI

応答率

応答率とは、コールセンターにかかってきた電話に対して、オペレーターが対応できた割合のことです。次の計算式で求められます。
応答率 =(対応件数÷着信件数)×100
例:10件の問い合わせに対して8件対応した場合、応答率は(8件÷10件)×100=80%
問い合わせが集中する繁忙期などにあふれ呼が起こると、応答率が下がる可能性があります。
コールセンターの応答率の目安は、80~90%です。80%未満になると、顧客の待ち時間が長くなり、顧客満足度が低下する可能性があります。また、90%を超えると、オペレーターの負荷が大きくなり、対応品質の低下が懸念されます。

放棄率(放棄呼率)

放棄呼率とは、あふれ呼の状態の顧客が、待ちきれずに電話を切断する割合(放棄呼の割合)です。あふれ呼とは、コールセンターが顧客対応に追われていて、電話がかかってきてもオペレーターが対応できないことをいいます。放棄呼率は次の計算式で求められます。
放棄呼率 =(放棄呼数÷着信件数)×100
例:10件の問い合わせに対して2件の放棄呼が発生した場合、放棄呼率は(2件÷10件)×100=20%
電話がつながりやすいコールセンターは、放棄呼は少なくなります。放棄呼率はコールセンターのサービスレベルを分析するための指標となります。

平均応答速度(ASA)

平均応答速度(ASA・Average Speed of Answer)とは、顧客から電話がかかってきてからオペレーターが応答するまでの平均時間です。ASAが短いほど顧客を待たせる時間が短いため、顧客満足度の向上に貢献します。平均応答速度は次の計算式で求められます。
平均応答速度(ASA)= (応答までの時間の合計÷着信件数)
例:10件の問い合わせに対して応答までの時間の合計が30秒だった場合、平均応答速度は(30秒÷10件)=3秒

サービスレベル(SL)

サービスレベル(SL・Service Level)とは、コンピュータシステムやネットワークサービスにおけるサービスの可用性や達成率などを数値化した指標のことです。コールセンターにおいては、設定した時間内で応答できた割合だけを指すこともあります。サービスレベルは次の計算式で求められます。
サービスレベル(SL) =(設定時間内の対応件数÷着信件数)×100
例:10件の問い合わせに対して設定時間内の対応件数が7件の場合、サービスレベルは(7件÷10件)×100=70%

コールセンターの「生産性」に関するKPI

稼働率

稼働率とは、勤務時間のうちで顧客対応にかけられる時間のことです。どれだけ効率的に業務を行えているかを測る指標になります。稼働率は次の計算式で求められます。
稼働率 = ((応対時間 +保留時間+後処理時間+待機時間)÷労働時間)×100
例:応答時間60分、保留時間10分、後処理時間45分、待機時間60分、労働時間180分(3時間)の場合、((60分+10分+45分+60分)÷180分)×100=97%
一般的に、適正な稼働率は80~90%とされています。しかし、稼働率は高ければ良いというものではありません。稼働率が高いということは、オペレーターの負荷も多いということです。結果的にオペレーターが消耗によるストレスを抱え、離職につながることもあります。

平均処理時間(AHT)

平均処理時間(AHT・Average Handling Time)とは、顧客への対応1件あたりにかかったトータルの時間の平均です。通話開始から保留時間、後処理終了までの総時間の平均を表したものです。平均処理時間は次の計算式で求められます。
平均処理時間(AHT)=(通話時間+処理時間+保留時間)÷通話件数
例:通話時間30分、処理時間20分、保留時間10分、通話件数20件の場合、平均処理時間は(30分+20分+10分)÷20件=3分

平均通話時間(ATT)

平均通話時間(ATT・Average Talk Time)とは、顧客との通話にかかった時間のことです。平均処理時間(AHT)が顧客対応の総合時間だったのに対して、ATTは通話に要した時間のみの指標です。平均通話時間は次の計算式で求められます。
平均通話時間(ATT)= 通話時間の合計÷総コール数(対応件数)
例:通話時間が合計80分で対応件数40件の場合、平均通話時間は80分÷40件=2分

平均後処理時間(ACW)

平均後処理時間(ACW・After Call Work)とは、1コールあたりの後処理時間の平均時間のことです。顧客との通話終了後の記録や伝達などの事務手続きにかかる時間を表します。平均後処理時間は次の計算式で求められます。
平均後処理時間(ACW)= 後処理時間の合計÷対応件数
例:後処理合計時間150分で対応件数50件の場合、平均後処理時間は150分÷50件=3分

コスト・パー・コール(CPC)

コスト・パー・コール(CPC・Cost Per Call)とは、顧客の通話1応対にかかるコストのことです。コスト・パー・コールは次の計算式で求められます。
コスト・パー・コール(CPC)= コールセンターの総コスト÷処理件数(対応件数)
なお、総コストにはオペレーターの人件費や設備費を含みます。
例:コールセンターの総コストが120万円、対応件数が1,500件の場合、120万円÷1,500円=800円

コール・パー・アワー(CPH)

コール・パー・アワー(CPH)とは、1人の電話オペレーターが1時間に処理したコール数を表す指標です。
CPHが高いほど、1時間に多くのコールに対応できるため、効率的にコールセンターを運営できていると言えます。
CPHの計算式は、以下の通りです。

CPH = 1日あたりの対応件数合計 ÷ 1日あたりの稼働時間
例:1日あたりの稼働時間が7.5時間あり、40件の電話に対応した場合、CPHは40件÷7.5時間 = 5.33

コールセンターの「顧客満足」に関するKPI

顧客満足度(CS)

顧客満足度(CS・Customer Satisfaction)は、顧客が企業の商品やサービスに対してどの程度満足しているかの度合いを表す指標です。コールセンターの対応について、顧客が感じる満足度を示します。
顧客満足度は、顧客へアンケート調査を実施することで求められます。コールセンター利用後に、満足度についてアンケートを実施します。その際、対応の満足度を段階的に評価してもらいます。

顧客推奨度(NPS®)

顧客推奨度(NPS®・Net Promoter Score)とは、顧客ロイヤルティをスコア化したものです。アンケートの実施と計算によって求められます。「この商品やサービスを知人や同僚にどれぐらい紹介したいか?」を0~10の11段階で回答してもらい、点数ごとに顧客を集計します。

  • 0~6点と評価している人:「批判者」
  • 7~8点と評価している人:「中立者」
  • 9~10と評価している人:「推奨者」

集計ができたら、各項目の全体に対するパーセンテージを計算し、顧客推奨度を求めます。
顧客推奨度(NPS®)= 推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)
※NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

コールセンターの「マネジメント」に関するKPI

欠勤率

欠勤率とは、予定されていたオペレーターのシフトに対して、どのくらいのオペレーターが欠勤しているかを示す指標です。欠勤率は次の計算式で求められます。
欠勤率 = (欠勤日数÷予定勤務日数)×100
例:予定勤務日数22日、欠勤数1日の場合、欠勤率 は(1日÷22日)×100=4.5%

離職率

離職率とは、オペレーターが離職した割合のことです。離職率は次の計算式で求められます。
離職率 =(離職者数÷労働者数)×100
例:労働者数50人、離職者数3人の場合、離職率は(3人÷50人)×100=6%
離職率が高い場合には、オペレーターの業務負担は大きすぎないかなど、組織形態や業務内容に問題はないかを確認する必要があります。

コールセンターのKPI設定における課題


コールセンターは部門によって役割が異なるため、各部門で業務内容に合ったKPIを設定する必要があります。また、同じKPIを長期間使い続けている場合も、現状に適していない可能性があるので注意が必要です。

課題1:必要なKPIがコールセンターの目的と仕事内容によって異なる

同じコールセンターでも営業や顧客サポートといった役割の違いで評価される行動は異なります。そのため、部門間のKPIの調整の難易度は高いといえるでしょう。
例えば、営業チームは、アポイントの獲得件数と獲得した金額が評価基準になりますが、顧客サポートチームは、顧客のニーズに適切に対応して、インバウンドの問題を解決することが評価基準になります。
異なる目的と最終目標は、チーム間のKPIの不整合につながる可能性があります。プロジェクトの最終目標を踏まえた調整(KGIの設定等)を行った上で、それぞれの役割に適したKPIの設定が必要です。

課題2:顧客やエージェントとの関連性が低下している現状にあっていないKPIを使用し続けている

コールセンターによっては、古いKPIを更新していない場合があります。現状に合っていないKPIを基準にすると、パフォーマンスを正確に評価することができません。
定期的にKPIを監査・レビュー・更新して、顧客やビジネス自体のニーズに対応できているか確認しましょう。
コールセンターのマネージャーは、CES(カスタマーエフォートスコア)・顧客満足度・収益・エンゲージメントなど、コールセンターの品質や業務効率化に関するKPIを検証・更新していく必要があります。

課題3:KPIを設定しても有効に活用できていない

必要なデータの収集にコストがかかる場合やKPIに使用するデータを従業員が理解できない場合は、設定した項目はKPIには向いていません。コールセンターでKPIを設定するときは、必要な情報を事前に用意する必要があります。
KPIの設定に必要な情報には、次のようなものがあります。

必要なデータ

応答率・放棄率・稼働率・欠勤率など、現状を客観的に見るためのデータです。これらのデータをもとにKPIを設定します。

データ収集のプロセスとシステムの構築

KPIを設定した後は、必要な情報を収集して分析し続ける必要があります。その効率的な運用のためには、レポーティングやデータ収集の自動化などの機能を搭載したシステムと円滑にPDCAを回すためのプロセスが欠かせません。必要なデータにアクセスできるよう、仕組みを整えましょう。

現状の収益

業務改善に限らず、企業によるさまざまな活動は、基本的に収益を上げることを目的として行われます。現状を把握し、それを基に設定したKPIが経営指標とつながっていることが大切です。

コールセンターのKPI最適化で業務改善をサポート


コールセンターのKPIは、目的にあわせて業務が行われているかどうかをチェックするための指標です。顧客行動の変化にあわせてコールセンターが求められる役割も変わっていくため、現状に合ったKPIを設定し、定期的に見直す必要があります。
ディー・キュービックでは、コールセンターの業務改善をAI技術でサポートしています。KPI設定は、業務内容や組織構造、抱えている課題に応じて優先順を決め、総合的に設計する必要があります。コールセンターのKPI最適化は、ディー・キュービックまでお気軽にご相談ください。

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著者情報

ディー・キュービック株式会社 マーケティング部

ディー・キュービック株式会社は、1979年に設立されたコンタクトセンター運営・DX化の専門企業です。多様化するコミュニケーション環境の中で、アナログとデジタルでの「対話」から豊かな「顧客体験」を共創する企業として、クライアントの付加価値創造を支援しています。

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