業務プロセス改善とは?目的や手順、BPRとの違い、失敗しないポイント

2023.05.15

ビジネスで利益を得るには売り上げの増大だけでなく、経費削減、生産性向上といった社内の「無駄」を減らすことも大切です。そして無駄な部分を省くには、現状分析を行い発生原因をつきとめ、業務改善策の立案と実行が不可欠です。

現状分析から解決策の実行、成果の確認までのステップを「業務プロセス改善」といい、計画的にかつ継続的に取り組むことで、実際に人件費や経費の大幅な削減に成功した事例もあります。この記事では、失敗しない業務プロセス改善の手順やポイントについて紹介します。

業務プロセス改善の基礎知識

利益を確保して企業を成長させるには、常に業務プロセスを改善および変革させる必要があります。そのため業務プロセス改善の概要や目標の理解を深めることで、実施における方向性が定まります。

業務プロセス改善とは?

業務プロセス改善とは、企業や組織における既存の業務フローや工程を見直し、より良い方法へ改善することをいいます。業務の効率化や省力化、コストダウン、リスクの軽減などを図るための代表的な施策の一つといえるでしょう。

例えば業務フローや業務マニュアルが長期間更新されていない場合、現在の業務内容が適切ではない可能性があるため、定期的に業務プロセス改善を行うことで、ビジネスを取り巻く環境に対して最適化を図る必要があるのです。

業務プロセス改善の目的・目標

業務プロセス改善を実施する目的は、会社や組織が事業の運営および拡大を進めるための業務効率化、リスクマネジメント、IT化を促進することです。無駄なワークフローや無理な業務を省くことで、コスト削減や労働時間、人件費の削減などにつながります。

業務プロセス改善と「BPR(業務改革)」の違い

業務プロセス改善と類似した言葉として、「BPR」があります。BPRは「Business Process Reengineering」の略で、業務プロセス全体を見直して再構築することです。一方で業務プロセス改善は、全体の流れは変えずに業務の無駄を省いて効率化を図ることを指します。

BPRと業務プロセス改善では、実施する内容が異なることを覚えておきましょう。例えばBPRは複数ある業務プロセス全体を見直す作業を行いますが、業務プロセス改善は1つ1つの業務において改善すべき箇所がないかを見直します。

業務プロセスを改善する方法・手順

業務プロセス改善は、改善策の立案から効果の実証までをフレームワークに当てはめ、PDCAサイクルを継続的に回すことで初めて効果が期待できます。その概要と代表的なフレームワークの一種である「KPIツリー」について解説します。

自社の現状を分析して課題を洗い出す

まず現在の業務フローや業務内容を見直し、改善が必要な問題点や課題を洗い出します。業務フローにムダや無理、ムラがないかという視点で分析をしたほうが効率的でしょう。現場では当たり前のこととして認識されている作業も細かく洗い出すのがコツです。

そして洗い出した課題を数値化してKPIツリーに当てはめ、課題を可視化します。KPIツリーとは、最終ゴールであるKGI(経営目標達成指標)を達成するための、中間目標KPI(重要業績評価指標)を分解してツリー状に並べたものです。業務プロセス改善により達成したい最終目標をKGIとし、洗い出した問題点や課題を数値化してKPIに当てはめ、ツリー状に並べます。さらに並べたKPIがKGIと連動しているか確認しましょう。確認方法は、KPIの数値同士を掛け合わせるとKGIの数値に合致するまたは超えることが望ましいです。

KPIツリーを用いた方法以外にも、分析に合わせて該当する業務に携わっている従業員全員が把握できるよう「見える化」を図ることも重要です。例えば「表計算ソフトで工程管理表を作成する」、「ガントチャートで進捗具合を確認できるようにする」といった施策が挙げられます。

優先順位を付けて改善する範囲を決める

すべてを一度に変更するのではなく、改善に取り組む内容に対して優先順位を定めます。課題を洗い出したら、各業務の工数と課題解決における効果の大きさを計算し、数字が大きい順から取り組むようにしましょう。すると業務プロセス改善の効果が大きくなり、成功につながりやすくなります。

改善内容ごとにKGIとKPIを設定する

KGIとはKey Goal Indicatorの略で「経営目標達成指標」という意味です。プロジェクトや新しい取り組みを実施するにあたり、最終的に目指すゴールを表しています。業務プロセス改善において、どのような状態になったら改善に成功したといえるのか、曖昧なままでは成功につながりにくいでしょう。

そこでKGIの値を設定し、ゴール地点を数値で表すことで、業務プロセス改善の成功か失敗かを可視化できます。例えば、1か月における営業の成約数が100以上で改善成功とする、企業の公式アカウントのフォロワー数が5,000人以上で改善成功とする、などがあります。

KPIとはKey Performance Indicatorsの略で、重要業績評価指標という意味です。KGIが最終的なゴール地点であることに対し、KPIはKGIにたどり着くまでに必要な中間点または監視し続けるべき数値を表します。

例えば営業における1か月の成約数を100にするというKGIを設定した際、1件の営業にかける時間や1日の業務時間に注目する必要があるでしょう。そこで適切な時間を計算しKPIに設定することで、KGIを達成するための手順や目指すべき目標が明確になります。

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改善方法を検討して施策を実行する

課題や問題点の解決のKGI、KPIを定めたら、具体的な施策を立案します。その内容やアプローチ方法は様々ですが、最初はできるだけ大規模な内容ではなく少人数で簡単に取り組める内容から立案するのがおすすめです。例えば一部の部署の業務フローを修正する、または少人数による業務研修の実施などが挙げられます。またBPRに取り組むなら自社で解決する方法以外にも、BPOやアウトソーシングなど外部リソースに頼ることもできます。

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実行した施策を評価、見直しと改善

実行した解決策において問題があった場合は改善戦略を検討します。KGIやKPIを設定していれば、業務プロセス改善までにどのような要素がどれだけ足りないのかが明確になるでしょう。改善戦略を検討したら実行して効果を見定め、再び改善策を立案するPDCAサイクルを回します。

業務プロセスの改善で失敗しないためのポイント

業務プロセス改善で失敗しないためには、狭い範囲からコツコツ行うことが大切です。無理をせず、ときにはツールを導入して手間を徹底的に省く必要もあるでしょう。

目標は高くしすぎず具体的に設定する

達成までに時間がかかりすぎる、また現状を顧みて高すぎる目標設定は推奨いたしません。従業員に負担をかけるだけでなく、達成できなかった際にモチベーション維持が困難になるためです。

また最終目標を設定した際、達成するために必要な小さな目標も同時に設定しましょう。現状をふまえて達成できそうな内容に定めるのがコツです。小さな目標でも、達成するたびに従業員のモチベーション向上につながります。またできれば、目標までの進捗状況が数値などで可視化できるようにしておくと、新たに改善策を打ち出すべきかが判断しやすいです。

改善案は標準化させることを前提に作成する

改善案は、一時的なものではなく改善後の運用まで考えて作成しましょう。最終目標への到達が目的になると、業務プロセスの改善が一時的なものとなり、再び課題や問題点が浮き彫りになる恐れがあります。立案した改善案の実施が、運用に支障をきたさないか確認しましょう。

必要に応じてツールを活用する

CRMやタスク管理ツール、ナレッジ共有ツールなど、業務を手助けしてくれるさまざまな支援ツールがあります。それぞれのツールは、以下のような便利機能や特徴があり、業務プロセス改善に役立ちます。

システムの導入には初期費用がかかりますが、導入後に業務上での手間やミスが減ったのであれば、一つの業務プロセス改善として成り立ちます。多くのツールが無料お試し期間を設けているため、現状の課題が解決できそうなツールがあれば、利用してみてください。

業務プロセスを改善するなら最終目標までの過程を可視化する

業務プロセス改善は、従来の業務フローやリソースを見直し、社内が抱える課題を解決するための取り組みのことを指します。

改善策を考案するには、担当者を決めて実際に現場に携わる従業員へヒアリングを行い、企業における課題の発生原因を正しくつきとめることが大切です。

また業務プロセス改善を成功させるポイントは、人間が行っていた業務をAIやロボットに任せることにより自動化を促進したり、便利なツールを用いて手間を削減することです。業務や管理を自動化すれば、属人化も防げます。小さな課題から取り組み、業務プロセス改善の習慣をつけましょう。

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ディー・キュービック株式会社 マーケティング部

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