チャットボットの「シナリオ」とは?作り方や設計するときのポイント

2023.10.04

従来、製品やサービスについて企業への問い合わせは、電話やメール、Webサイトの問い合わせフォームなどさまざまな方法を通じて行われていました。それらに加えて、最近はチャットボットの活用が進んでいます。チャットボットとは、「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で、自動的に会話形式でコミュニケーションを行うプログラムを指します。
本記事では、チャットボットの中でもシンプルで比較的手軽に導入できるシナリオ型を取り上げ、「シナリオ」とは何かについて説明します。さらに、シナリオの作り方や設計するときのポイントについても解説します。

チャットボットの「シナリオ」の基礎知識

まず、チャットボットのシナリオとは何か、どのような種類があるかなど、シナリオの基礎知識について説明します。

チャットボットのシナリオとは?

チャットボットのシナリオとは、チャットボットが対話をする際の流れやパターンを定義したものです。顧客からの入力に対して、あらかじめ用意されたシナリオに基づいて適切な応答を返すために使用されます。これらを実現するために、事前に具体的な対話の流れや質問、回答のパターンを設計します。

チャットボットの主な種類

チャットボットには主に3種類のタイプが知られています。シナリオ型、AI型(シナリオが不要のもの)、辞書型の3種類です。それぞれについて、違いを理解しましょう。

シナリオ型チャットボット

シナリオ型チャットボットとは、あらかじめ用意されたシナリオに基づいて、応答するチャットボットです。適した対話としては、FAQ(よくある質問)や注文受付、予約受付など、簡単な対話が挙げられます。
逆に適さない対話としては、複雑な対話などが挙げられます。質問や回答が予め決まっているため、それを逸脱した対応には向いていません。ルールに従ってシナリオ通りに動作するため、ルールベース型チャットボットとも呼ばれます。

AIチャットボット

AI搭載型のチャットボットとは、自己学習することで対話の精度を向上できるチャットボットです。機械学習や自然言語処理技術を利用して、ユーザーの発言から意図を判断する機能を持ちます。対話の内容に応じて、柔軟な応答が可能なため、適した対話としては、複雑な対話が挙げられます。具体的には、保険の見積もりや、商品やサービスの提案などです。
Q&Aが多く発生する場合は、AIを搭載したチャットボットが適していると言えるでしょう。シナリオ型のように事前にシナリオやルールを準備する必要が不要な一方で、デメリットもあります。AIの学習期間や制度向上のために会話データやり取りなどの大量データが必要となり、導入・運用までに手間と時間とコストがかかります。
また近年ではChatGPTなどの生成系AIと連携させることで、質問パターンを自動生成できるチャットボットも開発されています。

辞書型チャットボット

辞書型チャットボットとは、ユーザーによってフリーワード入力された質問文を解析し、辞書に照らし合わせて応答するチャットボットです。具体的には、ユーザーが「サイズを知りたい」と入力した場合、「サイズ」「知りたい」と分解・解析し、類義辞書から入力内容を判断、あらかじめ設定していたページに質問者を誘導します。
適切な対話方法としては、FAQの自動回答などがあります。AI型に比べて、学習やチューニングの時間やコストはかからない点がメリットですが、一方でユーザーが自由に入力した質問文によっては、うまく解析ができず、回答にたどり着けない場合があります。

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チャットボットのシナリオの作り方

ここまでチャットボットとは何か、その定義や種類、特徴について確認してきました。
3種類のチャットボットタイプの中でも、シンプルで比較的安価に導入できるのが、シナリオ型チャットボットと言えます。
シナリオ型チャットボットでは、ユーザーの質問に対して、いかに的を射た回答を返すかが大切です。本章では、チャットボットのシナリオの作り方について解説します。
チャットボットのシナリオの作り方について、ここでは代表的な5つの手順を紹介します。

ステップ1:ターゲットとなる利用ユーザーを設定する

まずは、利用ユーザーの属性や目的、課題などを分析します。チャットボットの導入目的と対応範囲を設定して、シナリオが対応する範囲を明確にするためです。

ステップ2:想定されるニーズから質問と回答を洗い出す

ステップ1でターゲットとした利用ユーザーについて、ニーズを抽出します。ターゲットユーザーの過去の問合せ履歴やアンケートなどを参考に、「よくある質問(Frequency Asked Question, FAQ)」をリストアップします。質問とそれに対する最も適切な回答をセットで考慮していくとスムーズに検討が進むはずです。 質問内容については、想像ではなく、実際の問い合わせ内容などのデータを参照することがポイントです。既存のFAQが存在する場合は、そちらをベースにすることもおすすめです。

ステップ3:シナリオの骨組みを設計する

シナリオの分岐の選択肢を設計します。質問内容に対する回答の選択肢を設定し、ユーザーが選択した回答に応じて次の選択肢を提示できるよう設計します。事前にキーワードやフレーズを決定しておき、それらに基づいた回答やアクションを設定しておくとよいでしょう。特定の条件に合致する場合のみ、特定の回答を提示するなど、条件分岐を設定しましょう。
その際、フローチャートを用いてシナリオを可視化するのがおすすめです。フローチャートを用いて、分岐やルートを設計しましょう。

ステップ4:チャットボットにシナリオを登録する

作成したシナリオをチャットボットに登録します。チャットボットシステムの設定画面から、シナリオを登録しましょう。

ステップ5:シナリオをテスト運用する

チャットボットにシナリオを登録できたら、実際にシナリオを使ってテスト運用し検証を行いましょう。利用ユーザーが実際に利用した際のフィードバックを取得するためです。テスト結果に基づいて、シナリオの修正や改善を行う場合には、再度テスト運用を行います。

チャットボットのシナリオを設計するときのポイント

これまでチャットボットとは何か、その代表的なタイプであるシナリオ型において、どのようにシナリオ設定するのがよいか、その作成ステップについて紹介してきました。これらを設計する際には、どのようなポイントに留意すればよいのでしょうか。ここでは、チャットボットのシナリオを設計するときの5つのポイントを解説します。

選択肢の数を増やしすぎない

選択肢が多すぎると、回答にたどり着くまでの時間が長くなり、ユーザーのストレスになる可能性があります。その一方で、選択肢が少なすぎると、回答がユーザーの要望に合わないケースがあります。そのため、1つの設問に対する選択肢は、おおよそ5つ程度にするのがおすすめです。

少ないステップで回答に辿り着けるようにする

会話の階層は、できる限り少なくするようにしましょう。回答を得るために、多くのステップを踏む必要があると、ユーザーが途中でチャットボットから離脱する確率が高まります

自然な会話の流れになるように意識する

ユーザーがストレスなく使えるように、自然な言葉遣いで短文を心掛けましょう。
選択肢に順序を付けず、ユーザーの要望に合わせた順番で回答を返すことで、会話の流れがスムーズになります。

導入後も分析やメンテナンスを行う

チャットボットのシナリオは、導入前に設定して終わりではありません。導入前に完璧なシナリオ作りをすることはできないため、ユーザーの利用状況を分析して改善を行う必要があります。 シナリオの変更や追加、回答精度の向上も定期的に行い、ユーザーにとって使いやすいチャットボットになるようにメンテナンスを行いましょう

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有人(オペレーター)との連携も検討する

無理をしてチャットボットだけで完結できるようにするだけではなく、対応品質を重視し有人対応との連携も検討します。チャットボットだけでは回答できない質問や、ユーザーが不安に感じている場合などは、オペレーターへの引き継ぎの導線を作成しましょう
さらに、オペレーターが回答した内容は、チャットボットのシナリオに反映させることで、同様の質問があった場合にはチャットボットが自動で回答できるように改善していきます。
チャットボット導入に伴う業務効率化や人件費削減によるコスト削減効果など、効果検証も実施しておきましょう。チャットボット導入時の初期費用が高額で導入が困難となる場合は、無料トライアルで導入効果を検証したり、月額費用に平準化したりして、導入費用も留意しましょう。

シナリオ型チャットボットを活用し、満足度高い顧客対応を実現しよう


本記事では、チャットボットの「シナリオ」とは何かについてみてきました。シナリオ型、AI型、辞書型の主要なチャットボットのうち、本記事ではシナリオ型のチャットボットを取り上げ、そのシナリオの作り方や設計するときのポイントについて解説しました。重視すべきポイントや注意点、コツをおさえ、チャットボット構築を成功させましょう。
自社の問い合わせ対応やFAQの傾向から、どういったタイプのチャットボットが最適か、また導入だけでなくどのようにブラッシュアップしながら運用していくのか、事前によく検討しましょう。それらの特徴に応じて、サポート体制などを比較し、ベンダー選定を行う必要があります。
チャットボットを活用することで、よりタイムリーに、より的確に顧客の疑問点を解消できれば、企業に対する顧客満足度の向上に寄与できます。現状の業務の問題点を整理し、それらを解決できる仕組みやツールを検討しましょう。
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著者情報

ディー・キュービック株式会社 マーケティング部

ディー・キュービック株式会社は、1979年に設立されたコンタクトセンター運営・DX化の専門企業です。多様化するコミュニケーション環境の中で、アナログとデジタルでの「対話」から豊かな「顧客体験」を共創する企業として、クライアントの付加価値創造を支援しています。

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